研 究 活 動
人の価値観や意思決定などに関わる高度な知的能力を実現する計算原理や人々が社会に
おいて相互作用する現象を解明することで工学的に応用する研究を進めています.
このため,機械学習,神経回路モデル,認知科学,マルチエージェントなどの複数の学
問領域からの研究を進めています.
主要研究分野: 人工知能,エージェントシミュレーション,機械学習,集合知等
主な研究トピック
私の研究経歴は,学部時(1987年)は理論物理,修士時(1988-9年)は実験物理でありまし
た.
以下では博士課程時に情報処理分野に転進後の主要研究トピックです.
- 機械学習 ※関連する主要業績[1,2,3,4]
人の優れた情報選択能力を模した状況分解という概念獲得技術を独自に提案し,認知課
題の計算機実験や,遺伝子情報の多視点マイニングに応用した.また生物学情報処理では,蛋
白質相互作用予測,薬物耐性予測,遺伝子発現可視化などの研究があります.
- 企業における価値創造フレームワーク[富士通社内リンク] ※関連する主要業績[5]
企業が素速いイノベーションや改善活動を継続的に行うために,人とデータ両面
において社内に分散して死蔵されている潜在知識を,ITを利用して掘り起こし,
コミュニケーションを通して結合するための研究開発を進めています.
これまでに組織においての意思決定や知識・価値創造のために人同士を結ぶ信頼ネットワークや
コミュニティを利用する
意見集約技術を提案しエージェント・シミュレーション等で評価を行っています.
- ゲーミングとその支援システムの教育 ※関連する主要業績[6,7]
研究者が自律的キャリア形成を学ぶためのゲーム教材を,AI学会20周年事業で制作し会
員らに配布しました(参考:研究人生を楽しむ会).
- 認知アーキテクチャの構築を通した人の知能の解明 ※関連する主要業績[8,9,10]
人がもつ優れた実世界知能の解明を目指し,神経回路モデルや強化学習などを基盤とす
る認知アーキテクチャの研究を行ってきた.これにとって上記の概念獲得が主要な要素
技術であり,逆に組織の意思決定や教育支援では個人のモデルとしての応用先となって
います.
主要業績
- Hiroshi Yamakawa, Mutsuyo Yamaguchi, Koji Maruhashi, and Yoshio Nakao.
Multi-aspect gene relation analysis.
In Pacific Symposium on Biocomputing PSB2005, pp. 233--244.
World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd., January 2005.
- 山川宏, 馬場孝之, 岡田浩之.
ETMIC基準を用いた状況分解によるカード分類課題での
概念獲得と予測過程.
認知科学, Vol.11, No.2, pp. 143--154, 2004.
- 山川宏, 仲尾由雄, 丸橋弘治.
タンパク質相互作用属性の出現解析とその予測.
人工知能学会全国大会(第20回)(JSAI-2006)論文集, 3A1-5, June 2006.
- 馬場孝之, 山川宏, 岡田浩之.
カード分類課題に対するMatchable状況分解を用いた概念獲得.
認知科学, Vol.9, No.1, pp. 103--119, 2002.
- Hiroshi Yamakawa, Michiko Yoshida, and Motohiro Tsuchiya.
Toward delegated democracy: Vote by yourself, or trust your network.
In Proc. World Academiy of Science, Engineering and Technology,
Vol.24, pp. 146--150, 2007.
- Hiroshi Yamakawa, Ryutaro Ichise, Masayuki Ohta, Yoshikiyo Kato, Hiroko Shoji,
and Yutaka Matsuo.
Educational board game for researchers` career planning in japan.
In Proc. ISAGA 2007 Conference, No. p-21, 2007.
- 山川宏, 市瀬龍太郎, 太田正幸, 加藤義清, 庄司裕子, 松尾豊.
Happy Academic Life 2006:研究者の人生ゲーム --
ゲーム型キャリアデザイン学習教材の開発 --.
人工知能学会会誌, Vol.21, No.6, pp. 360--370, 2006.
- 山川宏, 宮本祐司, 馬場孝之, 岡田浩之.
認知距離学習による問題解決器の実行時探索削減の評価と学習プロセスの解析.
人工知能学会論文誌, Vol.17, No.1, 2002.
- 岡田浩之, 山川宏, 大森隆司.
環境同定と報酬獲得のトレードオフを解消する報酬・嫌悪の二次元評価強化学習の提案.
日本ロボット学会論文誌, Vol.19, No.2, pp. 244--251, 2001.
- Hiroshi Yamakawa and Yoichi Okabe.
A neural network-like critic for reinforcement learning.
Neural Networks, Vol.8, pp. 363--373, 1995.
発表文献リスト
研究関連トピック
- 状況分解研究の目標
ヒトにはできて現在の計算機で実現できない知的機能の実現を目指しています.
そこには,
(1)状況に応じてた情報の選択と,(2)その情報の構成要素である特徴の動的な生成があると考え,
これを実現する技術を作ろうとしています.
これまで,(1)に対しては状況分解という技術を提案してきましたが,
これからは(2)の技術として特徴量生成技術を発展させたいと考えています.
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状況分解
これは,明示的な教師を用いないで学習で,関係のある複数の情報の塊を「状況」として取り出す情報選択技術です.
右図では,緑の平面上のデータはXとZの値が関係し,赤い平面上のデータはYとZが関係しています.
これが区別されていないデータが与えられたときに,自動的に二つの平面を状況として区別して取り出す機能を実現しています.
こういった能力が人間の知能の重要な側面を支えていると考えています.
(※分布が平面なのは説明の便宜のため)
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- 過去の研究
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